東京都がカスハラ対策に奨励金40万円を支給!独自調査で分かった奨励金の申請ポイントも解説
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2025年4月1日、東京都で「カスタマー・ハラスメント防止条例(以下、カスハラ防止条例)」が施行されました。これに伴い、東京都では企業のカスハラ対策を後押しするため、奨励金制度を開始。録音機器やマニュアル作成など、具体的な対策に対して最大40万円が支給されます。
本記事では、奨励金の概要から申請条件や東京しごと財団から独自にヒアリングした最新情報、実務の注意点、ツールを使ったカスハラ対策の方法までを分かりやすく解説します。
目次
東京都が企業のカスハラ対策に奨励金40万円を支給!その目的と背景
なぜ今カスハラ対策に奨励金が支給されるのか?
近年、東京都内の企業や事業所で「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題として大きく注目されています。
カスハラとは、顧客や取引先からの理不尽な要求や暴言、過剰なクレームなど、従業員の心身に悪影響を及ぼす行為を指します。この問題は、働く人々の精神的ストレスを増大させ、離職率の上昇や職場環境の悪化を招く深刻な課題です。
東京都では、こうしたカスハラの被害を受ける企業を支援し、従業員の働きやすい環境づくりを促進するため、2025年4月より東京都はカスハラ防止条例を制定し、カスハラ対策に取り組む企業に奨励金を支給する施策を開始しました。
背景には、都内での働き手不足の深刻化や労働環境の改善を求める声の高まりがあります。
この奨励金は、企業が具体的なカスハラ対策を導入しやすくすることで、問題の早期解決と被害の拡大防止を目指すものです。今まさに、カスハラ対策が急務とされる中、東京都が先駆けて支援の仕組みを設けたことは、業界全体にとって大きな追い風となっています。
「カスハラ奨励金」の概要と企業支援の全体像
東京都が新設した「カスハラ奨励金」は、カスハラ対策を積極的に実施する事業者を対象に、最大40万円の支援金を支給する制度です。この奨励金は、東京都内に事業所を構える法人や個人事業主が対象で、支給対象となる取り組みは録音・録画ツールの導入、マニュアル作成、従業員教育など多岐にわたります。
支給の狙いは、単に金銭的支援を提供するだけでなく、実効性のあるカスハラ対策の普及を促すことにあります。
具体的には、被害の記録や証拠収集を可能にするツールの活用、従業員の精神的負担を軽減する環境整備、そしてカスハラに対する社内ルールの明確化など、企業が自発的に取り組める環境を整えることが重視されています。
さらに、申請手続きは比較的簡素で、企業の負担を最小限に抑えている点も特徴です。
今後この奨励金制度を通じて、東京都のカスハラ対策が全国的なモデルケースとして発展する可能性があり、企業にとっては早期導入が大きなメリットとなるでしょう。
自社は対象?カスハラ対策奨励金の対象企業と条件をチェック
東京都内に事業所があれば対象(本社・支店問わず)
東京都のカスハラ対策奨励金は、東京都内に事業所を持つ企業や事業者であれば申請可能です。重要なのは「東京都内に事業所があるかどうか」であり、本社だけでなく支店や営業所、店舗なども含まれます。
たとえ本社が東京都外でも、東京都内の支店や店舗が対象事業所として認められれば申請対象になります。
企業向けカスハラ対策奨励金の申請条件には「マニュアル作成+3種のうち1つ」が必須
カスハラ防止対策奨励金の申請には、カスハラ防止マニュアルの作成が必須です。そのうえで、次の3つのうちいずれかを実施する必要があります。
- 録音・録画環境の整備
- AIシステム導入
- 外部人材の活用
企業規模に関係なく、予算に応じた選択ができるのが特長です。対策の組み合わせによって、より効果的なカスハラ対策が実現できます。詳しくはこちらでまとめています。
【独自調査】個人事業主も申請OK!
東京しごと財団へのヒアリングによるとカスハラ奨励金のもう一つの特徴は、個人事業主も申請できる点です。
これにより、規模の小さい店舗や個人経営のサービス業者なども積極的にカスハラ対策に取り組みやすくなっています。
個人事業主が対象となることで、より現場に近い視点での対策推進が可能となり、業種を問わず幅広い事業者に対する支援が充実している点が魅力です。
幅広い業種業態でも補助を活用できるので、まずは自社の取り組み内容をチェックしてみましょう。
【独自調査】雇用保険加入の必要なし!ハードルは意外に低い
東京しごと財団へのヒアリングによると多くの助成金・補助金制度では「雇用保険加入」が申請条件となることが多いですが、東京都のカスハラ奨励金はこの条件が必須ではありません。
助成金の申請時にありがちな複雑な書類準備や加入要件のクリアが不要なため、初めて申請する事業者にとっても手続きがスムーズです。
こうした配慮により、東京都は多様な事業形態を問わず幅広く支援し、カスハラ対策の普及を促進しています。
【ヒアリング先について】
カスタマーハラスメント防止対策 | 家庭と仕事の両立・ハラスメント防止対策 | TOKYOはたらくネット
最大40万円が定額支給される企業向け奨励金の仕組み
いくらもらえる?補助金額と対象となる取り組み内容
東京都のカスハラ対策の奨励金では、企業向けには最大40万円の補助金が定額で支給されます。
また、募集定員に達し次第終了となる見込みのため、早めの申請が推奨されます。補助金を有効に活用することで、実質的な自己負担が少なくカスハラ対策をスタートできるチャンスです。
今注目!企業向け奨励金【2025年6月募集開始予定】
条例施行後の2025年4月1日以降にカスハラ防止対策を実践した企業には、最大40万円の奨励金が支給されます。特に企業向け奨励金については、東京都に事業所を構える多くの企業が対象になります。対象は以下の条件を満たす企業です。
対象 | 金額 | 主な条件 | 対象規模 |
---|---|---|---|
東京都内の企業・個人事業主 | 最大40万円 | ・カスハラ防止マニュアルの作成 ・下記いずれかの取り組み └ 録音・録画環境の整備 └ AIシステム導入 └ 外部人材の活用 | 3年間で約10,000件 |
特にポイントなのが、AIシステムの導入や通話や接客内容を録音・録画できるツールの導入です。こうした機器を活用することで、カスハラ対応時の「言った・言わない」問題を未然に防げ、従業員の心理的な安心感にもつながります。RecACEplus(レックエースプラス)は、通話録音をAIが文字起こしし要約するサービスで、この要件にピッタリです。詳しくはこちらもご覧ください。
団体向け奨励金【2025年6月募集開始予定】
団体が会員企業や従業員向けにカスハラ防止体制を整備した場合、最大100万円の奨励金が支給されます。主な要件は以下のとおりです。
対象 | 金額 | 主な条件 |
---|---|---|
業界団体・組合など | 最大100万円 | ・カスハラ対策方針の策定・周知 ・相談窓口の設置 ・研修の実施 ・外部人材の活用 |
支援活動を通じて会員企業の対策推進を支援し、職場環境の改善に貢献します。
団体向け補助金【2025年4月募集開始予定】
大規模なカスハラ防止活動を行う団体には、最大5,000万円(補助率1/2)の補助金が支給されます。
対象 | 金額・補助率 | 主な条件 | 募集規模 |
---|---|---|---|
条例普及活動を行う団体 | 最大5,000万円 補助率1/2 | ・顧客接点を活かした条例普及 ・業界横断的防止策 ・広域的な啓発活動 | 約10件程度 |
RecACEplusなどのAIシステム導入も対象に
近年注目を集めているのが、AI技術を活用したカスハラ対策ツールの導入です。
その中でも、通話録音・AI文字起こし・自動要約などの機能を備えた「RecACEplus(レックエースプラス)」は、補助金の対象です。
RecACEplusは、顧客との会話を自動で録音・文字起こしし、カスハラの通話があった際にスマホアプリに通知することが可能。
こうした機能により、カスハラの兆候を早期に察知し、上司や管理者が即座に対応できる体制を構築できます。
さらに、AIが通話録音を可視化することにより、通話録音を一から聞き直すことなくすぐに内容把握ができ、現場の改善や再発防止策の立案にも活用できる点が魅力です。
このように、東京都の奨励金制度では、最新のテクノロジーを活用した実効性の高い対策も支援対象となっており、企業の「攻めのハラスメント対策」が加速しています。
いつ・どうやって申請する?カスハラ奨励金の申請方法ガイド
申請受付は2025年6月30日開始!早めの準備がカギ
東京都のカスハラ対策奨励金は、2025年6月30日(月)~8月8日(金)17時までが第1回申請期間です。
※受付予定件数を超えた場合、期間内でも締め切られることがあります。
年3回の受付が予定されていますが、第1回に間に合わせたい場合は早めの申請準備が重要です。
電子申請のみ対応!「GビズID」と「jGrants」が必要
申請は国の電子申請システム「jGrants(ジェイグランツ)」で受付しています。
そのため、「GビズID(プライム)」の事前取得が必須です。ID取得には1〜2週間かかるため、余裕を持って準備しましょう。
対象は2025年4月1日以降の契約分から
奨励金の対象となる取り組みは、2025年4月1日以降に契約・導入したものに限られます。
それ以前に実施した対策は対象外なので注意が必要です。
申請から支給決定までは通常3カ月程度
以下の東京都カスタマーハラスメント防止対策推進事業の公式サイトによると、申請後から支給決定の通知まで約3カ月かかります。その後、1カ月程度で奨励金が支給されますが、
東京しごと財団への独自のヒアリングでは、奨励金の支給は最短の場合、申請から3ヶ月以内とのことでした。
【参考サイト】
【東京都】カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金 | 奨励金40万円
東京都カスハラ奨励金の申請に関する独自調査結果とよくある質問(Q&A)
東京しごと財団への独自のヒアリングにより、奨励金申請に関して以下のような実務上のポイントが判明しました。
【問い合わせ先について】
カスタマーハラスメント防止対策 | 家庭と仕事の両立・ハラスメント防止対策 | TOKYOはたらくネット
ポイント | 詳細説明 |
---|---|
個人事業主でも申請可能 | 従業員がいなくても申請できます。 |
契約締結日の条件 | 2025年4月1日以降の契約が対象で、4月1日以前の契約は認められません。例:3月契約、4月1日設置は不可。 |
録音・録画ツールの導入について | 録音または録画のどちらか一方のツールを導入すれば申請可能です。 |
雇用保険加入の必要なし | 奨励金申請に雇用保険加入は必須ではありません。 |
対象事業所の所在地 | 支店や店舗も東京都内に事業所があれば対象となります。法人は登記簿や賃貸契約書、個人事業主は開業届が証明書類として必要です。 |
申請から支給までの期間 | 最短で3か月以内に振込が完了します。振込口座の確認書類の提出が必要です。 |
申請の不受理理由は非公開 | 不受理となる具体的理由は公開されていません。 |
審査結果の確認方法 | 「ジェイグランツ(https://www.jgrants-portal.go.jp/)」のポータルで審査状況を確認可能です。 |
最新の実務情報を反映し、この記事を参考にすれば、カスハラ奨励金の申請に関する疑問を解消しやすくなります。今後も最新情報の確認を欠かさず、適切な申請を心がけましょう。
まとめ : 奨励金を活用して、今すぐカスハラ対策を強化しよう
東京都のカスハラ対策奨励金は、2025年度に新設されたばかりの支援制度です。
「いつか対応しよう…」では遅く、今こそ“備える企業”と“後回し企業”で差がつくタイミングです。
特に、RecACEplusはカスハラ対策において非常に有効なツールです。
AIを活用した通話録音や文字起こし機能により、顧客とのやり取りを証拠として残し、従業員の対応を可視化することができます。
これにより、カスハラ問題が発生した際の迅速な対応が可能になり、従業員の負担軽減にも繋がります。
RecACEplusを活用することで、カスハラ対応を強化することができます。
カスハラ対策を強化するための第一歩として、RecACEplusを導入を検討し、実効性のある対策を今すぐスタートしましょう。